この野生のゆり王国ともいえる風土を活かし、観賞用のゆりの栽培がおこなわれている小清水町では、ゆり栽培農家によって維持されている100種類700万輪ものユリの花に彩られる丘「リリーパーク」があります。
入口のゲートをくぐると、そこは視界いっぱいに広がる鮮やかなゆりの郷。時間も忘れてうっとり眺めたくなる数々のゆりたちに会いにいきましょう。
◆ 早咲きと遅咲き。2回の見頃を楽しむ
小清水町のリリーパークで、まずおさえておきたいのは7月下旬頃に見頃になる「早咲き」と8月中旬頃に見頃になる「遅咲き」と2回のゆりの旬があるということ。シーズン中に数回訪れても、時期によって異なるユリを楽しめます。 リリーパークのスタッフさんが教えてくれた簡単な見分け方は、「早咲き」は上向きに咲くゆりで、香りがしないゆりであるということ。
ゆりと言えばすべて良い香りがするのかと思いこんでいたので意外でしたが、7月中は園内の満開に近いところを歩いても香りは漂ってきません。
「遅咲き」は横向きに咲く花。7月後半頃から少しずつ開花しますが、1~2輪咲いているだけでも、甘い香りが漂います。
◆ 鮮やかな色あいを生み出す気温と土壌
そもそも小清水町は、なぜユリの栽培に向いていたのでしょうか。ゆりは種類によって好む環境は異なりますが、基本的には日当たりがよく、水はけの良い土地を好みます。小清水町は南側が阿寒(摩周)国立公園に含まれており、その摩周系の火山灰が太古に降り積もってできた大地は透水性が良いそうです。 リリーパークのすぐ外側には、田園風景が広がります。
一日の寒暖差が大きい小清水町のリリーパークのゆりは開花しても、2週間ぐらい見頃が続きます。
スタッフさんによると、開花後も日ごとにゆりの色が濃くなり鮮やかになっていくそうです。
ゆりだけでなく、ガーデンエリアの色鮮やかな花々の美しさも格別です。
◆ 一周たっぷり40分
ゆりの郷こしみず「リリーパーク」は、歩いてまわると最低でも40分。ゆっくり歩いて写真を撮ったり、木陰で休憩したりすると、1時間以上は楽しめる北海道で最大級のゆり公園です。 疲れたら、白樺の木陰で小休止。マルコポーロという品種をイメージした淡いピンク色のゆり根入りソフトクリームはすっきりとした甘さが格別です。
園内のゆりの見どころを熟しているスタッフさんが運転しながらガイドしてくれるカートで回ると、ゆりの豆知識が増えて楽しい。
◆ お気に入りのゆりを思い出に
たっぷりゆりの美しさを堪能したら、自分の家の庭でもゆりを楽しみたくなっている方も多いはず。売店では、数10種類の鉢植えのゆりも販売しています。散策の際に気になったゆりがあるか覗いてみましょう。 育て方に自信がなかったら、スタッフさんが丁寧にアドバイスしてくれます。
ゆりは日本を原産とするゆりも数多くあり、日本人は古来より、野山に自生していたゆりを持ちかえって観賞用に栽培していたそうです。
日本人のゆり好きはそんな風に脈々と受け継がれてきたのかもしれません。リリーパークには、100種類近くものゆりがあります。お気に入りを見つけて、うっとり眺める時間を楽しんでみましょう。