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知る・出会う

エクリプスの謎解きを楽しもう。

野鳥には、春から夏にかけての繁殖期とそれ以外の時期の羽の色が全く違う種が多くあります。秋の濤沸湖に集うカモたちも、エクリプスと呼ばれる地味な羽色に変わったオスのカモが混ざり、同じカモばかりがいるように感じてしまうことも。
そんなややこしい時期もちょっとポイントを押さえれば、個性豊かな顔ぶれが揃っているのが見えてくるかもしれません。

◆ 秋のツウなカモ・ウォッチングの楽しみ方

冬から夏の終わりにかけてカモのオスは、鮮やかな色彩をしている種が多く、種類をあまり見間違うことはありません。ただし、繁殖期が終わった秋の濤沸湖では、エクリプスと呼ばれるとても地味な色彩のオスのカモや、これから大人の羽に変わる幼鳥達が勢ぞろいしており、誰が誰だか分からない~状態になりがちです。

いきなり、秋のオス(エクリプス)とメスと幼鳥の区別をつけるのは難しいので、まずは何の種類が濤沸湖で羽休み中か謎解きしてみましょう。

まず分かりやすいのは、ハシビロガモです。春のオスは、白い胸と赤茶色の脇のコントラストが目立ちますが、秋のオスはマガモのメスのような茶色になります。ですが、トレードマークのシャベルのような平たいクチバシを探せば、他のカモと容易に見分けることができます。
(春のハシビロガモのオス。撮影場所:濤沸湖畔、5月中旬)

一見するとそっくりのエクリプスとメス。一番の違いは虹彩(瞳の色)です。写真では奥のカモが鮮やかな黄色い虹彩をしているので、オスだと分かります。(ハシビロガモのエクリプス(奥)とメス(手前)。撮影場所:濤沸湖畔、10月中旬)

◆ シルエットの違いに着目してみよう

ちょっと難しく感じるかもしれませんが、体形も大きなヒントです。中でも分かりやすいのは、丸々とした体形のヒドリガモです。横に細長い体形の他のカモに比べると、くちばしが短めで、頭も体も丸いので、シルエットで分かりやすいカモです。

春のオスは、赤茶色の頭の色で、まさに「緋色の鳥=ヒドリ」。秋(下写真)も他のカモに比べるとちょっと赤みの強い茶色です。(春のヒドリガモのオス。撮影場所:濤沸湖畔、4月中旬)

ヒドリガモのエクリプスは、メスよりも少し赤味が強いのが特徴です。あとは脇の雨覆(あまおおい)と呼ばれる部分にも着目してみましょう。エクリプスは雨覆の部分が白いのが特徴です。(ヒドリガモのエクリプス。撮影場所:濤沸湖畔、10月前半)


◆ 似たもの探しで、さらに違うカモを見つけてみよう

ヒドリガモと似たようなシルエットで間違いやすいのが、「ヨシガモ」です。ナポレオンヘッドと呼ばれる美しいオスが、繁殖期が終わるとこんなに地味になるなんて!っていうとてもギャップが大きいカモです。

(春のヨシガモのオス。撮影場所:濤沸湖畔、5月中旬)

ヒドリガモとの分かりやすい違いは、くちばしの色です。ヒドリガモは、灰色で先っぽが黒いツートンカラーですが、ヨシガモのくちばしは黒っぽいのが特徴です。その他見分けやすい特徴としては、三列風切と呼ばれる羽の部分が草刈鎌のようにカーブして曲がっていることなどがあります。
(ヨシガモのエクリプス。撮影場所:濤沸湖畔、8月中旬)


◆ 細身なシルエットのカモもいます

シルエットでの見分けに慣れてきたら、オナガガモも分かりやすいカモです。濤沸湖の中で見られるカモの中では一番スレンダーで横長です。首も長く尾羽が長く、群れで見られることがほとんどなので、細身な群団がいたらオナガガモと思って観察してみましょう。

オナガガモは、エクリプスかメスか、なかなか分かりにくいカモです。手前真ん中オナガガモの首が白っぽくなっているので、オナガガモのエクリプスが繁殖期の羽へ換羽中だと分かります。その右横も、翼鏡の部分が緑色なので、エクリプスと分かります。
(撮影場所:濤沸湖畔、9月前半)


繁殖期の羽のオナガガモのオスは、白い首とチョコレート色の頭の色が特徴です。 (水浴びをするオスのオナガガモ(手前)。撮影場所:濤沸湖畔、4月下旬)


◆ ちょっと上級編

春は栗色と緑色のツートンカラーの丸い頭が分かりやすいコガモも、秋は他のカモに紛れてしまうと探しにくいかもしれません。コガモは、体長35cmほどで、全長60cmほどになるマガモの2/3ぐらいのサイズです。他のカモや水鳥が近くにいれば、大きさで気付くことができます。
(春のコガモのオス。撮影場所:濤沸湖畔、4月中旬)

この写真では、コガモより少し大きい(体長40cmほど)のオオバン(奥)が近くにいるので、コガモのサイズ感がよく分かります。
(撮影場所:濤沸湖畔、9月後半)


◆ 身近なカモでも、分からないかも

春は緑色の頭ですぐにわかるのに、秋になると他のカモと混ざってしまって分からなくなるカモにマガモがあります。

マガモのエクリプスの見分け方は、とにかく鮮やかな黄色いクチバシです。メスや幼鳥はすこし黒が混じるまだらなくちばしをしているので、きれいな黄色いくちばしが見えたらマガモのエクリプスの可能性が大です。
(エクリプスのマガモ。撮影場所:濤沸湖畔、8月中旬)


◆ 換羽の早さはカモによって違います

濤沸湖でたくさん見ることができるオカヨシガモは、他のカモと比べると換羽が早いといわれており、9月に入るとは、繁殖期の羽に衣替えを始めている個体が見られます。
(換羽中のエクリプスのオカヨシガモ(左)とメス(右)。撮影場所:濤沸湖畔、9月中旬) オスのオカヨシガモの特徴である胸のうろこ模様が出てきています。

9月下旬になると、オスは高級グレーのスーツを着たようなシックな姿形にかわります。 (ほぼ繁殖期の羽に換羽が終わったオカヨシガモのオス(手前)。撮影場所:濤沸湖畔、9月下旬)


一見すると分かりにくい秋のカモたちですが、よく見てみるとだんだん違いが見えてくるような気がしませんか?

見慣れると、全部同じカモに見えていた秋の濤沸湖のカモ達も個性豊かな顔ぶれが揃っていることが分かります。カモ達の種類が見分けられるようになったら、「エクリプスを探せ!」をやりながら、秋のカモ・ウォッチングを楽しんでみてはいかがですか?

10月に入ると繁殖期の羽の色に変わっているカモも増えてきますので、9月と10月でそれぞれカモの変化を楽しめますよ。