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食べる・買う

打ち立てそばの贅沢を味わう

朝10時頃、食堂「おばちゃんの家」の手打ちそばと書かれたのれんをくぐると、そばを打つ店主の姿が目に飛び込んできます。

「おばちゃんの家」という店名は、民宿を始めた頃に切り盛りしていた店主のお母さまのことを指しているそうで、その当時のお客様がつけてくれた名前だそうです。

◆ 地元の食堂として40年

現在は、昼の営業の食堂のみで、看板メニューはなんといっても毎朝店主が打つ北海道産そば粉を使用した十割そば。

お品書きには、「もり」「天ざる」「おろし」といった定番の冷たいそばや、「かけ」「かしわ」「海老天」などの温かいそばのメニュー、「天丼」「カツ丼」などの丼ものが並びます。 民宿としてのおばちゃんの家が始まったのは、今から40年ほど前。まだ北海道の鉄道が華やかなりし頃、多くのSLファンが写真撮影に小清水町を訪れていました。

SLの出番が終わった後は、費用を切り詰めながら鉄道で旅行を楽しむ若者たち、いわゆる「カニ族」が押し寄せ、おばちゃんの家の最寄りの浜小清水駅は多くの人で賑わったそうです。


◆ かつての賑わいを失っていく駅前で

国鉄の財政が悪化し、1980年代後半の民営化に伴い浜小清水駅が無人化されると、かっての賑わいを失いつつある駅前で、なんとか特色を出したいと、現店主の松村さんが考えたのが「そば」でした。

食堂を始めて約10年、一からそばの打ち方を研究し、試行錯誤を重ねました。北海道のそば粉もいろいろ試した結果、今は北海道一のそば生産地である幌加内のそば粉を使用しています。


◆ そば本来の味を楽しむもりそば

松村さんのそば打ちを見学した後に、「食べていって」と出して頂いたのは、一番シンプルな「もりそば」でした。

本来もりそばは、わさびもつけずに、そば本来の味を楽しむものらしいのですが、わさびをつけて欲しいと頼む人が多いので、もりそばにもわさびが添えられています。
せっかくなのでわさびは入れず、まずは一口すすってみます。

のどごしの良いそばは、これが本当に10割なのかというぐらいあっという間につるつるっとのどの奥に入っていき、自家製のそばつゆとよくからみます。

わさびものりもねぎも何もいらない。「もりそば」の醍醐味が実感できた一瞬でした。


◆ 開店と同時が狙い目

「そばを打つ」店はたくさんありますが、本当に打ち立てを食べる機会は実はあまりありません。

毎朝松村さんが打つそばは数人分。長く置いておくと切れてしまうので、用意していた以上にそばの注文が入った場合は、またそばを打ちます。

おばちゃんの家は10時半に開店します。お昼を食べるには少し早いかもしれませんが、打ち立てのそばを目当てに、あえて早い時間にのれんをくぐってみませんか?

※そば打ちは開店前の10時頃に行われています。今回は取材のために特別にそば打ちを見学させて頂きました。